トムとジェリー
未だに幅広い年代に根強いファンのいる「トムとジェリー」ですが、日本での放送は1964年(昭和39年)から1966年(昭和41年)までテレビ放映されていました。記念すべき第1回目の放送は「白ねずみは人気者」「くたびれもうけの魚釣り」「ワルツの王様」の「トムとジェリー」のはなし3話が放送され、いわゆる「真ん中の話」はありませんでした。
ドルーピーなどの「真ん中の話」が2話目に入れられたのは、1971年(昭和46年)からで「トムとジェリー」と共に1990年頃まで繰返し再放送されていました。
年代で言うと1950年後半(昭和30年代位)の人たちがリアルタイムで「トムとジェリー」を観ていたことになり、それ以降の年代の人たちは再放送を観ていたことになります。「真ん中の話」を一緒に観ていた人は、再放送を観ていた可能性が高いですね。
「トムとジェリー」が作られたのは、アメリカの映画会社であるMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)で、ディズニーが創り出したミッキーに対抗するために、フレッド・クインビーのプロデュースのもとでウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラによって、1940年(昭和15年)にアメリカ国内で第1作目が制作公開されました。
アメリカで公開された1作目の題名は「Puss Gets the Boot(上には上がある)」で、この時の主役2人には「トムとジェリー」という名はなく、劇中でトムは「ジャスパー」と呼ばれていたが、ジェリーの名前はありませんでした。しかし1作目の評価が高く人気が出たため、2作目が制作され劇中で始めて「トム」と呼ばれ、クレジットに「トムとジェリー」と入ることとなりました。
「トムとジェリー」は、その後も数多くの作品を生み出していますが、アニメーターやプロデューサー、制作会社が変るごとに絵が違うものや、トムとジェリーが仲良しになるなど2人の関係が変ったり、コンセプトそのものまで変更されたものなど様々。そんな「トムとジェリー」は、特徴によって次のように分けることが出来ます。
●MGM制作期
- ・ウィリアム・ハナ&ジョゼフ・バーベラ期(1940年~1958年)
- ・ジーン・ダイッチ期(1961年~1962年)
- ・チャック・ジョーンズ期(1963年~1967年)
- ・「The New Tom & Jerry Show(新トムとジェリー)」(1975年~1977年)
- ・「The Tom and Jerry Comedy Show(トムとジェリー大行進)」(1980年~1983年)
●タイム・ワーナー制作期
- ・トムとジェリーキッズ(1990年~)
- ・トムとジェリー テイルズ(2006年~)
「トムとジェリー」の原作では、2人の台詞はほとんど無いが、日本で放送されていた初期の吹き替え版「トムとジェリー」はよくしゃべる。そしてナレーションもついているのだが、おそらくターゲットにしていた年齢層が低かったのと、英文が出てくるために説明しないと解りづらかったのだろう。これが結果的に初期の「トムとジェリー」を観ていた世代に強烈な印象を与えたのだろう。
日本で放送された吹き替え版の「トムとジェリー」には、それぞれ3人の声優が存在する。
初期の1990年頃までのトランスグローバル版「トムとジェリー」は
・トム(八代駿)
・ジェリー(藤田淑子)
・ナレーション(谷幹一)
で吹き替えされていて、「トムとジェリー」はこれでないといけないという人たちが多く存在する。
そして現在、DVDやビデオなどで出ているタイム・ワーナー版「トムとジェリー」は
・トム(肝付兼太/ダン小路)
・ジェリー(堀絢子/チマ)
となっていて、初期の八代駿/藤田淑子版「トムとジェリー」は版権の関係上これから先も観れることはなさそうだが、それぞれの企業が見栄や利益のためではなくユーザーのために動くことで実現できるものだと信じたい。